今日も、普段どおり時間は巡る。
何の変わりも無い普通の授業に、ドタバタのタイガーHR。少し違うといえば、新学期特有の、少しばかり活気ある雰囲気だろうか。
セカイは、到って穏やかに回っている。
様々な出来事が起こった冬は既に去り、春となった。
誕生の季節。春は、そう称されることもある。
死の季を越えて、再び、祝福の時は訪れる。
今朝の夢。それも、そんな祝福の一つだったのだろうか?
―――――――もしも。
春が本当に、祝福の季節ならば。
「……俺、は」
何を、考えているというのか。
何故、そんなことが、頭を占めているのか。
―――――――あの姿を。
もう一度―――――――
「…………は」
莫迦な妄言を、一言で葬ろうとした。
あの夢が、美しく、幸せに溢れたものだったから。そんなコトが、浮かんでしまったのだろう。
何より、在り得ないコト、と。
自分自身が、誰よりも良く知っているのだから。
だから。
そんな考えを棄ててしまうことは、きっと、簡単なことの筈なんだ。
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