数分で頭痛は治まった様だった。後遺症だろうか、とにかく遠坂に、と、思った。窓の外に目をやって、絶望的な暗さに歯をならす。それが気になるが、もしそうだったらこれ以上抱えて走るのも拙い。折悪く隠れてしまった月が、暗い夜道を更に危険な場所に変えてしまっている。
今は安らかな寝息を立てる彼女を見守りながら、長く息を吐いた。
「まだ、なんとも言えないけど」
気持ちの整理はつけたはずだった。それでも、結局ついていなかったから、苦しんだと思う。彼女の理想があって、俺の理想があって。それを優先して、あの丘に立った。
覚悟は出来てた。だから、問題だったのはその先。
別れは覚悟していた。けれども、その先に続く孤独への覚悟は無かったと思う。あるいは、あったとしても、甘く見ていたのだろう。
届かない思いをひたすらに、胸に抱いたまま走り続けて。それが間違いだと知ってもまだ走り続けて。どうしようもなくなって自分を壊した。
何処にも辿り着けないと知ったのは、誰に諭されたからだったか。
あまりにも、激しすぎる喪失感。
空虚で空虚で、寒くて仕方がない。
目が眩む、立てもしない。吐く息は剣で、吸うそれは塩素か何かで。あの痛みには耐えられない。だから、走り続けるしかなかった。その時間だけは全てを忘れていられて。
ベッドの端ではなく、床に直に腰を落ち着けて、背を預けた。安らかな寝息に胸をなで下ろしながら、膝を抱えて顔を埋める。
無くした心、届かないはずの思い。
願いと祈りは別物で、震える指先は。
寒くはない。だが、どんどんと凍えてゆく指先を覚えている。
目が覚めて、声を聞けない事に愕然とした。
何処を捜しても見つからない事に絶望した。
二度と、会えないと知って血の気が引いた。
そんな理屈は飲み込んでいたはずなのに。
会えない。ただそれだけのことなのに、会えない。本当にそれだけなのに。どうして人の胸は、壊れそうなほどに痛むのだろう。
「お互いの信じた物、か」
理想があって願いがあって祈りがあった。自惚れなどじゃなく、愛情も確かに。
耳に染みついた声は、今だって鮮明なままで。
最後の音を閉じこめたまま、心が凍り付いていた。だから。今この温もりに戸惑って、どうして良いのか解らない自分がある。
「くそ、情けない」
悩むところなど何処にもない。答えは決まり切っていて、もう一度出したはず。
終わらない想いだったけど、断ち切った迷いだったけど。さよならとも告げられず、終わりを迎えた恋だったけど。
鮮やかに鮮やかに焼き付いて、決して上書きされる事のない朝日の離別。
明確な溜息を一つ。それから、振り向いてゆっくりと彼女を見下ろした。
安らかな寝顔。実はほとんど見たことがないそれ。きぬぎぬのそれしか、俺は知らなくて。
「そっか、今度は」
守ることが出来るかも知れないのだ。
彼女の笑顔を。
遠い刻の中に置き去りになった、アルトリアの笑顔を。
車窓の風景は、徐々に郊外から農地へ、農地から住宅へと移り変わっていく。時折バックミラーを覗くセラと目があう、が、できればその“フン”みたいな目付きするのをやめていただきたい。
イリヤの保証ゆえ、少々の心配事はあったが、十分に流暢なセラの運転で街まで戻る。どちらにお送りいたしましょう。との問いかけに、家ではなく、駅前に御願いする、と、答えた。
「サンキュ、助かった」
「お嬢様の指示ですので」
仏頂面なのは相変わらず。生真面目なのか嫌がらせなのか、あるいはリズの言うようにツンデレの類なのかは判然としないが、とにかくもう一度丁寧に御礼を言ってドアを閉める。
ロータリーをぐるりと一回りして、最後にクラクションを鳴らすと、ベンツはそれまでの優雅さとは隔絶した咆哮を上げて遙か彼方へと消えて行った。
あれを乗っているときにやられなくてよかった。
彼女の手を引きながら、ロータリーを歩いていく。今日はどうしようか。これから何処に行くべきか。行っていないところは柳堂寺に、学校に、それから、ヴェルデ。そうだ、ヴェルデと言えば――――――
――――――何かが咬み合うように、
不意に、渡せなかったそれを思い出した。
「セイバー、ちょっと此処で待ってて」
「あ、シロウ!」
言い残して走り出す。目的地はファンシーコーナー。胡乱な視線のする女性客も、今は気にしている場合じゃない。
「あれ、衛宮」
…………気にしなきゃいけない声を聞いた気もしたが、それは取り敢えず置いておこう。
ざっと逃げるように棚の裏側に回り込み、いつか彼女がじっと見つめていたぬいぐるみを持ち上げる。値段は財布とちゃんと釣り合うレベル。そそくさと視線から逃げながら、プレゼントに、と店員に頼んでぬいぐるみを買った。
ライオンの、ちいさなぬいぐるみ。
一年前。渡そうと思って渡せなかったそれを、今こそ渡すために。
〜Interlude in 2-11〜
伸ばした指を、引っ込める。駆け出した彼を追うには、少々距離が離れすぎてしまった。
「……まったく」
人混みの影に見え隠れしていた赤い頭も、すぐに見えなくなる。どうしたものかと、僅かに考え込んだ。
解りきった事だと頭を振る。答えは出ない、どうしようも何も、どうしたらいいかが解らないのだ。仕方がないから、手近なベンチに腰を下ろした。
何処を見つめるでもなく、ただじっと流れていく人の波を見つめている。どれだけの人口がこの街にあるのか。次々と吐き出される人の群れは留まるところを知らない。行軍と言うにはまばらだが、モノクロの騎士の様に流れていく人は、まるで水の中に沈んでいるような錯覚を覚えさせる。
そうだ、あれは騎士ではなく川岸で。頭の先まで沈んだ自分が、川の流れる様を横から眺めているような錯視。
せわしなく行き交う人は街の血流で、己は其処に紛れ込んだ異邦人に過ぎない。
つん、と鼻を刺すそれに眉を寄せた。人いきれ、と言うには濃さが足りず、さりとてまともに嗅ぐと耐え難い人間臭さ。感じられる事の少ない場所では、現代の空気は少々刺激が強すぎる。
気分が悪くなってきた。
そう思って、立ち上がった。
少し離れたところに、芝生と植え込みがあった。手近な緑に癒しを求めて、待てと言われた場所を僅かに離れる。
幸い、ここからならあの場所も見渡せるようだった。
「は――――――」
すこし、深く息を吸った。
此処でも少々酸が鼻につくが、先程よりはマシになっている。緑色に塗られたベンチが鮮やかであざとい、コレを見つめていては疲れてしまうだろう。
地面から、視線を空へ。
細く高く流れる雲の彼方の故国へと思いを飛ばす。想像も出来ない事だが、何故か現在の有様を思い浮かべることが出来た。
知らないのに識っている。
まるで、刻み込まれた刻印のように知らない記憶が染み入ってくる。
砂を噛むような思いだった。
歯がゆい。
「微睡みの終わり」
Presented by dora 2007 03 07
改稿 2008 03 31
「あれ、セイバー?」
閉じた瞳に、針の先程の声が聞こえた。
急いで体を起こす、いつの間にかベンチにもたれたまま眠っていたらしい。顔を上げると、太陽の傾きが大分変わっていた。
「――――――む、不覚でした」
懲罰物の失態だった、歩哨であれば降格すらされかねない。緊迫した状況なら処刑もありうるだろう。そんな物騒なことを考えながら、視線を声に向ける。半日で見慣れてきた赤い髪が、人混みの向こうに揺れていた。
「まったく――――と」
不意に。
そう、不意に彼に意地の悪いことをしてみたくなった。
こそこそとベンチから立ち上がると、気付かれないうちに茂みの裏側に回り込む。影から彼を伺うと、辺りを見回しながらせわしなく動き回っていた。
「……ふふっ」
思わず含み笑いが零れた。意地悪だとは思うが、どうしてかコレが楽しい。わざわざそばに来たときも見つからない位置に移動する。狼狽した少年が、自分の影を求めて視線を彷徨わせているのが楽しくて――――――痛い。
「あ、え―――?」
痛かった。楽しみからすり替わった感覚は鋭く、抉り込むように胸を締め付けて仕方がない。必死の形相で己を探す彼の姿が、見知らぬ屋敷の姿と重なって。
「はは、何をばかな……」
がっくりと膝をついてうなだれたその。
別れの翌朝の、割り切った笑顔と――――――
見たはずはない。知りうることでもない。何より彼と知り合ったのは僅か数日前の話だ。
だと言うのに痛い。知っているから痛い。焼けた鉄を握りしめる痛みと悦びが其処にある。こんな、こんな感覚を私は知らない――――――
こんな感覚しか、喚ばれた私は知り得ない。
視界はスパークした記録に焼けて、流れ出すそれは止めどなく在ったことを其処に刻んでいく。あらゆる場所に刻み込まれたそれが、この街に居た私を浮き上がらせて行く。
お前は誰だ。
我が名はアルトリア。
お前は誰だ。
我は■■■■、名はアルトリア。■■■■■■の■■■■■■にして■■■■■■■■■を担う者。■の片割れ。
知らない。そんな者は知らない。知らない、知らない知らない知らない知らない―――!!
そうか、だが私はお前を知っている。孤独なその身を落とし込む、安らぎの園の名は……
響く声に心が震える。
私は私が気がつかないだけで、もう一枚大きな外套にくるまれているような――――
かちり、と音がして、また一つのピースが填る。
ノイズがかった視界のまま立ち上がると、私の知らない私が彼に向かって歩き出した。
何もかも知る彼女は―――私のくせに私を越えて。
〜interlude out〜
「――――――あれ、セイバー?」
戻ってきてみるとセイバーは居なかった。
ぐるりと見回してみるが、見える範囲に彼女の姿はない。腕時計を確認すると、どうも一時間弱の時が流れている。
待ち疲れるには十分な時間だ。
「何処行ったんだろ」
内心の不安を押し殺そうと、わざと明るい声を出してみる。俺は心配などしていない、と、声に出してみる。はっは、結果は惨敗。震える声が不安を助長してランニング、止まるところを知らない加速は離陸速度まで一転五秒。ぶつん、と何かが切れる感覚。エンドルフィンの供給が一息に停止したのか、震える体が押さえられずに頭の中が崩れ落ちる。音を立てて崩れる聖堂の屋根、瓦礫に散らばるステンドグラスは彼女との記憶の欠片だ。
泳ぐ瞳で、飢えた犬のようセイバーを探す。あちらの物陰こちらの人混みと、せわしなく探す目に映る者は無い。
彼女の姿はない。
「――――――ひ、はは」
引きつった音が喉から聞こえた。
笑っているのか、それとも泣き出しそうなのか。まるで悪い夢を見ていたかのように、彼女は消えている。膝から力が抜けそうになった、幻にでも包まれていたかのような虚脱感。
焦燥に走り出しそうになった。荒くなりそうな息を堪えて、もう一度周囲を探してみる。見あたらない彼女の姿を追い求めて、ただ世界が廻っている。
いつしか膝をついていた。
なんてことはない。崩れ落ちる世界のただ中で、彼女の姿だけを追い求める。
なんてことはない。衛宮士郎にとって、セイバーの価値とはそう言うことなのだ。
砕けかける意識に、滑り込む足音がある。振り向く前につつかれた。やっとの想いで顔を上げると、美しい眉をひそめてセイバーが俺を見下ろしている。
「勝手に歩き出すとは何事ですか。ひとりだけ置き去りにされても困る、不慣れな土地なのですから」
と、彼女は言った。
「今後このようなことはないように」
「あ、あ、――――――」
怒ってる。
そんな時は、何て言えば良いんだっけ?
「まったく――――――シロウ、何か言うことはないのですか?」
その、何かを期待するような目は何だろう。
怒っていたはずなのに。
彼女はまだ、俺のことを識って居るだけの筈なのに。
ゆっくりと、今と何時かが重なっていく。
「――――――ああ、ゴメン。俺が悪かった」
溢れる懐かしさと狂おしさに負けて、それだけしか口に出すことが出来なかった。
ブザマブザマ。まったく、様にならないことこの上ない。
「――――――で、それは何ですか?」
「ん、これ、前に渡せなかったから」
紙袋をセイバーに押しつけ、照れくささに鼻の頭を掻く。
なんでしょうか、何て言いながらセイバーが包みを覗き込み、その表情が劇的に変化して――――――
「――――――ありがとう、シロウ!」
――――――と。
確かな声で。
確かな感情を込めて彼女は言った。
「――――――」
何も言うことが出来なかった。胸を貫く鏃はキューピッドのそれで、変わる表情に夢中なのは一年も前からで。
華やかな笑顔を向けた後、自分でも何を言ったのかわかっていない様子で、セイバーは口元にてをやった。
間違いなかった。彼女は答えに近付いてきている。そのまま抱きしめたくなる衝動に、渇いて死んでしまいそうだ。
だが、焦ってはいけない。
街を見に行こうと誘った。遠いビルの上で、街を見下ろして。まだ明るい内故か、まるで見知らぬ場所のようだった。失敗したと思ったが、夜此処に入るのは、それなりに面倒だった。
まあ、いいか。
此処にあるのは良い思い出じゃない。
けど、それでも大事な記憶で在ることには変わりない。
橋のたもとまで、バスに乗った。エンジンの振動を、何処か噛み締めるように彼女は感じている。違和感と既視感を、すりあわせていくように。手前のバス停で降りた後、彼女の手を引いて街を遠くに眺める。
橋の中程で、不意に彼女が立ち止まった。雷に打たれたみたいに硬直して、不安げに辺りを見回して。
「セイバー、どうした?」
「どうという訳ではありませんが……」
僅かに口ごもった後、この橋はあまりいい気がしないのです。と、彼女は言った。
「そっか。じゃ、早く渡っちまおう」
いろいろあった、と思いながら橋の歩道を行く。ほんの少しだけ息をのんで、セイバーが再び足を止めた。
「どうしたのさ」
「特に、これということではないのですが」
「じゃあ早くわたっちまおう、日が落ちたら、やっぱり寒くなるから」
そう言って繋いだ手をひいた。
すぐに、その場に手が引き戻された。
「――――――ですが、この場所だけは暖かい」
微かに頬を染めてセイバーが眼を瞑る。
そこはいつか、彼女を迎えに来た場所だった。
たもとの公園で缶ジュースを買って渡す。なれた仕草でセイバーはプルトップを引いた。
そんな仕草にも、もう驚かなかった。
憶えている、ぐらいにしかセイバー自身も感じていない。だが、まだ決定的な何かが思い出せないのだろう。
闇夜にこぎ出す船と同じ、北極星の明かりを頼りに進むような手探りの道行き。
だけど、一つだけ確かなことがある。
セイバーが帰ってくる。それだけは確実で、まがいようもなかった。
夕べ駆け上った道とは反対の道を、今度はゆっくりと踏みしめるように歩く。何を考えているのか、心臓はばくばくとうるさくて、いつしか脚が震えだしている。熱でも出たんじゃないかってぐらい手が震えていた。
夕焼け空に続く坂道を二人で上ってゆく。知っているようでまるで知らない風景が、この町にも在ったのか。
単純な話。二人でこうして空を見ながら歩くのなんて初めてで、それだけで世界に色がついたように鮮やかだ。これなら、いままで生きてきた世界なんて、モノクロの写真の様に味気ない。見るだけで万色、数えれば億を超える色の乱流。空一つとっても、紅から濃紺へのグラデーションに雲の色が混じって表現しきれない。地に目を下ろせば、それこそ考えるのがばからしいほどで。
ゆったりと家並みが変わっていく。普通の街なら坂の下から屋敷が出来るものだが、冬木は少しだけ違う。古くから在る家ほど、高い位置にあるのだ。昔雷画のじいさんに聞いたところによると、どうも未遠川は暴れ水で、しょっちゅう氾濫していたらしい。そのせいで、人足は街の低い位置にしか住めなかったのだとか。
新興住宅の味気ない壁から、徐々に瓦の載った屋敷の塀に移り変わっていく。二階建ての家は少なくなり、平屋の広い屋敷が増えてきた。カラスが遠くで啼いている。海の方に目を向けると、水面は見えないが潮風が吹いたような気がする。
藤村組の前を通り越して、いよいよ自宅の塀を眺め始める。木戸を潜ると、玄関には明かりが灯されていた。鍵が開いているのを確認し、中に入る。三和土には、二足の靴が行儀良く並べられていた。藤ねぇと、桜のものだろうと見当を付けた。
「さて――――――」
どう説明した物だろうか。ぶっちゃけ、現状では説明のしようがない。セイバーに記憶があるのならば口裏を合わせてもらえるが。そう思って、彼女を見ても、首をかしげるだけで意思の疎通は不可能に近かった。
うん。口裏なんて無理な話だ。
あきらめて、そっと家に上げた。即座にセイバーの靴を靴箱に放り込む。これで証拠は隠滅した。後は――――――夕べの外泊を虎と桜にどう説明するかだな。
イリヤがどう説明したのか、聞いてくれば良かった。
「ちょっと此処にいてくれ」
自室に連れて行き、座布団を出した。不手際だとは思うが、しばしの辛抱だ。そう思って不安に苛まれる。もともと隠し事が得意な性質ではない、ばれない自信はなかった。
彼女の記憶がいつ完全に戻るのか、ひょっとしたら、この曖昧な状況のまま続いていくのかも知れない。胸の靄を拭い去ることは出来なかった。
どうしてこんなに苦しいのか、説明は出来ないが――――――そんなことはないか。
簡単な話、俺はまたセイバーに恋していて。好きな奴が不安そうな顔をしているのが、たまらなく嫌なだけなんだ。
「シロウは?」
そう、それ。その顔。見ているだけで胸が苦しくなる。
「まだセイバーの事を上手く説明できる自身がないんだ。だから、部屋から出ずに、待っていて欲しい」
「解りました」
言葉を最後にふすまを閉める、閉じた其処に額を押しつけて、長く息を吐いた。一年前とさほど変わらない暗いだけの部屋、日が沈んでしまえば、眠るだけの部屋だった。
なんて異常、帰るべきところが突然沸いて出来るなんて。
部屋の明かりは付けてある。彼女が居る以上、誰にも電気の無駄とは言わせない。決意は強いが、理屈は何一つ思いつかなかった。への突っ張りみたいな屁理屈は、あれでも教師な藤ねぇに容易く論破されてしまうだろう。卒業してそのまま教員になった超難関試験合格者を嘗めちゃいけない。野生の勘もさることながら、あれで裏付けされた論理が彼女の中に渦巻いているのか。
言い訳をうだうだと考えながら廊下を歩く。おかしな話、俺は悪いことなど何一つしていないというのに。本当に笑いが込み上げてきた。自分を笑う類のそれは、とてもじゃないけど人には見せられないものでひどくみにくい。
何もない部屋だが、幾冊かの本は在ったはずだ。字が読めるのならば、とるにたらない物だが、暇つぶし程度には成るかも知れない。
さあて、食事の支度はこの時間なら桜がしているだろう。手伝って早めに支度を済ませて、早めに食事をとらせて、どうにか追い返そう。セイバーとの話は、それからゆっくりとだ。そう思いながら廊下を進む。
――――――で。
言い訳はやっぱりしどろもどろで、虎にめっちゃあやしまれたのは言うまでもない。
〜To be continued.〜
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