「うむ、上出来」


 夜、今日の晩飯当番は俺であり、今晩のメインはキノコ鍋である。味噌ベースにして、たっぷりと茸系統を煮込んだ自信作。
 味付けは、ほぼ完璧。さて、コンロを出して、鍋本番に備えよう――と、


「あ、茶碗買ってきたんだ」


 ――したところで、遠坂が台所に入ってくる。


「うん。蒔寺のウチが安い陶器市やっててさ」
「へー。それにしては洒落てる……って、あれ? 同じのふたつ?」

 遠坂も、セイバーと俺のとで絵柄が一緒なことに気付いたのだろう。見比べて、そんなことを言う。

「そうそう。選んだのが同じ柄だったんだよ。偶然ってあるんだなー」
「へ? 偶然?」
「? そうだけど……」

 遠坂先生は何故だか、疑問符を浮かべてこちらを見ていらっしゃる。
 そして、ひとつ溜息。何故か、どこからか取り出した眼鏡をおかけになった。

「あのね、衛宮君」
「はい?」

 ガスコンロのミニボンベを探しつつ、かけられた声に返答する。

「いい? 貴方とセイバーは、どういう関係?」
「……! い、いきなり何を」
「いいから」
「む……ぱ、パートナー……か?」
「ま、それでもいいわ。で、その二人が、同じ絵柄、サイズ違いの茶碗を選んだ。どこからどう見ても、一対のセットよね。

 ――世の中ではそういうペアのものを、なんていうか知ってる?」

「?」


 今度は、疑問符を浮かべるのは俺の番だった。はて、何を言いたいのか遠坂先生は――



 ――と。



「そういうの、夫婦茶碗、って言うの。知ってた?」
「――――な――――!」



 ……そんな、とんでもないことを宣ひなさった。



「はー。自覚なし、か。やんなっちゃうわね、ホント……」
「……ち、違うぞ! ああいや、違うわけじゃないけど!」
「ま、いいわ。私は楽しいし♪ せいぜい、皆への言い訳を考えておきなさい♪」
「と、遠坂……っ!」

 既に、家人は……初のお茶碗にうきうきのセイバーも含め、居間に出揃っている。
 最早、逃げるわけにもいかない状況、というわけで。


「楽しみねー♪ 桜やイリヤがどんな顔するか♪」


 ……逃げ場は既に無い、団欒の土曜夜。
 願わくば、修羅場になりませんように。



 ……でも、まあ。



 そんなハプニングが、あったとしても――二人で選んだものなんだから、大切にしなきゃな、と。
 ひとつ、苦笑して、遠坂への返答にする。
 さて――兎にも角にも、まずはいい鍋にしなくては。


 折角買ってきた茶碗を、楽しんで使えるように。

   




 あけましておめでとうございます! 新年更新第一弾は、晴嵐改様に挿絵協力を頂きました合作をお届けいたしますw

 この企画が動き始めたのは……多分、二年くらい前、かな?w そこからじわじわと進めておりまして、今日ようやくお披露目出来ることになりましたw
 SSはいつもの「日常風景モノ」ですが、挿絵でより身近に具体的に感じていただけるのではないか、と思っておりますw 晴嵐改様にはこの場を借りまして、厚い御礼を申し上げる次第です<(_ _)>

 さて、今回は公式(?)設定も美味しく料理させて頂きましたw Fate/school lifeの蒔寺嬢ですね(笑)。呉服商で陶磁器系統も扱っている、というところから、「こう絡められるか」という発想に到ったのですw 着物マキジは同作で多少出ておりますが、こちらでもその出で立ちでご登場願いましたw

 彼女はいいキャラクターですよねー。というより、サブキャラクターながら、穂群原一般生徒の方々は誰も彼も素晴らしい個性をお持ちですな。美綴さんはじめ、今後とも積極的に絡めていきたいと思っておりますw

 去年は色々あってSS更新頻度も随分落ちてしまいましたが、今年は回復させて行きたいですね。今後とも、変わらぬご愛顧を是非ともお願いいたしたいところ。ウチも頑張ってまいりますw
 それでは、お読み頂きましてありがとうございました!<(_ _)>


 面白ければ是非w⇒ web拍手


 書架へ戻る
 玄関へ戻る