――――――〜The after word.〜――――――





「俺、お前のことを何て呼べばいいだろうか」

「え―――――?」

「セイバーって、クラス名だろ。本当の名前が在るはずだろ、俺、まだ聞いてない」

 お前の口から、それを聞きたいのだと、強く祈るように口にする。

 途惑いと、喜びと、それから、形容しがたい眼差しの色。

「アルトリアって呼べば良いのかな」

「いいえ―――――」

 そっと、一度だけ目を逸らして遠くを見つめると。嬉しそうに目を閉じて彼女は言った。

「アルトリア・ペンドラゴン―――――彼女の人生はあの丘で終わりました」

 だから、今此処にいる自分は違うのだと。

 新しく始めるのに、古きを引きずる事はしないと。

「私は、貴方に告げた名以外に名を持たない」

 そう笑って、そっと己の胸に頬をすりつける。

「じゃあ―――――」

「はい、此まで通り呼んでください。私が貴方をシロウと呼ぶように、私もそれが好ましい」

 彼女の名はセイバー。

 たった一人の、彼の剣。

 長い眠りから覚めた――――――彼の恋人。









 ――――――シロウ、
          あなたを愛している――――――







 呟きは風に遠く。

 この地の全てを覆い包むかのよう。





 彼女は最後まで王のままで。

 彼も最後まで愚か者のままだけれど。



 今は、ただ。

 優しさと愛情に抱かれたままで。















――――――祝福あれ。













 〜Fin〜




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