戦勝の会見で、アーサーはギネヴィアとの婚礼を正式に申し込んだ。
もとより、異論などあろうはずもない。カーマライドは最良の盟友を得、アーサーは非の打ち所の無い妃を迎える。政略婚としては、上々の組み合わせ。
だが、それだけでは、無かった。
公式な会見の後、ギネヴィアは、ほんの短い時間、アーサー王と対面した。
美しい顔は、どこまでも無表情。かわした言葉も、ほんの2、3。
だが、アーサーの言葉の端々に。彼女には、読み取れるものが、あった。
(この人は、誠実な御方だ――――)
彼女は、自分が夢を見ているかと疑った。
それも道理。ほんの少し、希望を篭めた、いつかの祈り。
よき良人に。それは、彼女が見てきた欲の塊とは違う、誠実で、清らかな人。
それが、祖国を救ってくれた恩人。
さらには。
――――― 一目惚れに近い感情を抱いた相手。
夜、彼女は感謝の祈りを、主に捧げる。
(あの御方の、妃になれる―――――)
―――――彼女は、確かに。
公の存在、王家の娘。その、誰にも信の置けぬ世を生きてきたギネヴィア。
だが、今は一人ではない、と、そう思えた。
自分が信じることの出来る、確かな寄る辺。彼女は、アーサー王に、それを見出していた。
またまた、後記は11月20日の雑記にて。
また日付越してしまった……!!
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