まさか、そんな。
 いや、しかし――これは、眼前に展開するこの光景は、紛うことなき現実だ。

「――、――!!!」

 7月末、梅雨も明けた盛夏の入口に相応しい暑さの中、「彼ら」は、ただひたすら、戦い続けている。

 プロ野球の球団も使う、とあるベースボールスタジアムにて行われている、高校野球地方大会の決勝戦。所謂「ルーズヴェルト・ゲーム」になりそうなスコアの展開。先制され、追い付き、突き放され、それでもなお追い縋る――そんな展開が繰り広げられている。方や、甲子園常連校。そしてもう一方は――。

「逢、追い付いたよ!」
「先輩、見てればわかります! それより次です!」

 そう、輝日東高校――スタンドで見ている、「彼」、そして七咲逢の母校、であった。目立った戦績の無い同校が地方大会の決勝まで来た、そのことだけでも既に大健闘、と言えるほどなのだ。輝日市は市内に強豪を抱えているため、高校野球という意味では有名な地だが、彼らの母校は無名に近い。

 当然、同校生徒およびOBは、その事実に沸いた。逢と彼もまた、その例外ではない。たまたま週末、講義のない日に設定された決勝戦では、梅原正吉、マサ、ユウジ、ケン等々、往時の学友がスタンドで鉢合わせ、さながら一大同窓会のような形で、応援まで盛り上がっていた。

 そして、迎えた九回裏。プレイボールから食らいついていたものの、一度も勝ち越せなかった輝日東高校が、ノーアウトからの三連単打で塁を埋め、ゲッツー崩れの間に三度同点に追いつく。三振、四球と流れ、ツーアウト満塁。


 その夏の行方は、次の打者に託され――、そして――。




   ※




「それにしても、こんな日が来るなんてなあ」
「ふふ。思いもしませんでしたよね」

 それから、二週間ほど。あの後、叩き付けて高くバウンドしたことが幸いし、サヨナラ内野安打で甲子園切符を手に入れた輝日東高校は、県大会前は予想もされていなかった結果に熱狂しつつも動揺したようで、かなり甲子園遠征の準備に手間取った、とかなんとか。そんな情報に苦笑しつつも、彼と逢は、母校応援を大義名分にして、とある計画を実行に移していた。

 そう、西への旅行、である。長い大学の夏季休暇、どこへ行くか二人でいろいろと検討はしていたものの、ついつい結論を先延ばしにしていた中、急遽決まった母校の甲子園出場は、決断の動機としては十分なものだった。

 すぐに安めの宿を探し、夜行バスを取り、3泊4日程度で甲子園を含めた京阪神の旅行計画を立てる。いったん方針が決まれば、気の合う二人、一気に旅程が埋まっていった。

 そうして今。熱帯夜明けの青空がすでに当日の猛暑を告げる中、二人は夜行バスから大阪駅前へと降り立ったのだった。

「やっぱり疲れることは疲れるな……あまり寝た気はしないね」
「ええ、私です。でも、先輩とだと二人掛けのシートを使えますし、値段が安く抑えられるのはいいことだと思います」
「うん、それは利点だよね」

 荷物を受け取りながら、夜通し揺られた夜行バスについての総括を少し。青春18きっぷを用いた夜行普通列車も捨てがたいものだが、あちらは乗り継ぎや夜間に消灯がないなどのデメリットもなくはなく、一長一短というところだ。

「まず、荷物をホテルに預けちゃいましょう。野球までまだ時間がありますから」
「了解。いやー、楽しみだ」

 ともあれ、そこは若さの強み。朝食を食べ、少し休めば回復するものだ。既に、意識は甲子園へと向かっている。まだ見ぬ聖地に心躍らせながら、二人は投宿先へと向かった。




   ※




「――蔦」
「見事ですね、これは」

 そして、大阪から阪神電鉄でおおよそ15分。全国の球児が夢見、目指す場所である甲子園球場へと到る。正確には、駅までがだいたい12分で、降りてから少し歩いて3〜4分。駅前の飲食店兼土産物店のような店が立ち並ぶ広い道を歩き、道路高架の下をくぐると、その威容が明らかになる。

 ただでさえ大きい球場が、野生生物の宝庫ともいわれる蔦に覆われた姿は、ただただ圧巻。青空と深い緑がよく合わさって、それだけで景勝を成している、と言えそうだ。

「一塁側、だから、右ですね」
「うん。チケット出しておかないとね」
「了解です。ペナントとかタオルとか、お土産はどうしましょう。後でいいですか?」
「そうだね。終わってからも時間はあるし」

 球場は正面が北側で、ちょうど内野席にあたる。今回は母校出場ということで、伝手を使ってしっかりアルプス席のチケットを手に入れていた。

「あ、来たわねー。二人とも、焼けちゃってまあ」
「あはは……アルバイト先が外なので、仕方なく」
「こちらも同じです。先生は日焼け止めばっちりですか?」
「相変わらずズバッと切り込んでくるわね……ええ、もちろんよ。あなたたちがうらやましいわ、本当」

 その「伝手」である高橋先生を見つけ、挨拶を交わす。塚原先輩もそうだが、こうして卒業してもいい関係を築けているのは本当にありがたい、と、彼は思う。いい高校生活だった、と、その一点でもそう言えるだろう。

 そのまま、アルプス入りの待機列に並ぶ。輝日東高校の出番は、大会3日目第2試合。夏の選手権大会は序盤は1日に4試合が設定されているので、かなり朝早くから試合がスタートしている。2試合目といっても、10時台から始まることが多いのだが、試合の進行をスムーズにするため、両校の関係者等々が座るアルプス席は、前の試合の終盤には入れ替えの準備が始まっているのだ。

「だんだん暑くなってきたなあ」
「こればっかりは仕方ないかと。ちゃんと水分は買ってきてますから」
「OK、頑張ろう、逢」
「はい、先輩」

 何人か見知った顔がいる列のなか、体感気温はどんどん上昇している。しかし、時折聞こえる打球音と歓声、そしてウグイス嬢のアナウンスが、期待を掻き立ててもいくのであった。




   ※




 そして、ほぼ定刻通りに第一試合は終了。逢と彼は、アルプス席中段、ベンチの端に2席を取ることができていた。

「場所はいいけど……」
「遮るものは全くないですね……」

 そう言って、苦笑しあう。野球を俯瞰して見るには最高の位置ではあるが、他方で影を作る構造物が全くない。
 ただ、それは大多数の観客も同じこと。もちろん、グラウンドで戦う選手たちも、だ。

「熱射病には気を付けよう」
「ええ。ではさっそく、塩飴などいかがでしょうか」

 逢が、手提げのスポーツバッグから夏の発汗対策グッズを取り出す。さて、暑さと戦い、選手と共闘する時間。心は暑く、体はなるべく熱を持たないよう。それが、見る者の心得、というものである。

 それに、しても。

「試合前の練習から見るのも、いいものですね」

 それは、彼女の言う通り。だが、――野球を見にきておいて、それもどうかと彼自身思うところ、「いいもの」なのは、試合前練習からじっくり野球を見られること、だけではない。
 照り付ける太陽。時折吹き抜けていく風。まさに夏、といったこの気候の中、隣の彼女をじっと見つめられるチャンス、でもあるのだ。

「先輩?」

 ノースリーブの肌に、珠のような汗が浮かぶ。肌と逢のきれいさが相まって、盛夏が生み出す大自然なる健康美が、まさに今、彼の眼前に展開しているのだ。

「先輩―?」
「や、なんていうかさ」
「はい」
「逢は、きれいだよね。どこででも」
「……、……ここで、ですか」

 少し呆れたように。ただ、いつものことでもあり。逢は、笑って彼の言葉を受け止めてくれる。

「そう言っていただけるのはありがたいですが、せっかくの機会なんですから、野球を見ましょう。ほら、あの土の黒さ、芝の緑、空の青さ、球児さんたちの機敏な動き。最高ですよ」
「あ、ああ。そうだね」

 とはいえ、逢も一言は言いたかったようで、そう窘められたところで、彼は逢の鑑賞会をいったん中断し、視線をグラウンドへと戻す。しかし――と、彼は、それでもなお、思うのだ。はつらつとグラウンドで輝く球児も、プールで躍動する逢も――その「美しさ」の質は違えど、根源的には同じものを持っているんじゃないか、と。




   ※




「すごかったな……」
「すごかったですね……」

 そして、おおよそ二時間半後。事前の想像をまたも覆し、輝日東高校は見事に一回戦を突破、それも大勝で二回戦へと駒を進めていた。聖地に響き渡る校歌、というのは、いささか奇妙にも感じるが、体にしみ込んだメロディでもあり、大合唱がまた心地よかった――これは、忘れえぬ体験だろう。

 そして、二人は応援に来ていた旧友と別れ、今度はライトの外野席へと移動していた。アルプス席はほとんど満員の状態で、試合鑑賞や盛り上がりには大いに適していたが、窮屈で疲れる場所でもあったのだ。

 第三試合は比較的地元と縁遠い県同士の対戦、ということもあり、外野席はアルプススタンドと比べればかなりすいていた。手に汗握り、感情移入する見方とは違った、落ち着いて、球場と野球そのものを味わう時間。これもまた、甲子園の楽しみ方のひとつなのだろう。

「先輩、かち割り買いましょう。前のがなくなっちゃいました」
「そうだね」

 甲子園名物のかち割り氷を二人で楽しみながら、第三試合の球児たちをゆっくりと眺めている。一球に、一打に賭ける青春。大会の公式歌に謳われているとおり、この瞬間にすべてをかける若者たちは、ただただ格好良くて、爽やかだ。

 逢も、そうだったなあ――と、彼は、ふと思う。それが、彼女に惹かれた理由のひとつ。迷い、苦しんだ時期もあったけど。一本一本の泳ぎを、一かき一かきの動作に、その青春を賭ける想いこそ、彼が貴いと思い、そして、愛した姿であったのだ。

 もちろん、今も変わらず、いや、更に倍加して愛しているのだけど、それはそれだ。
 翻って、自分を考えれば、さて。

「おお……すごいジャンプでしたね。抜けていれば走者一掃でしたよ、先輩」

 楽しそうに野球を見る逢を愛でながら、ふと思う。
 では、自分は何に青春を賭けたのだろうか、と。

 特に部活に打ち込んだわけでもない。勉学には多少力を入れたが、それも大学に入れる程度の学力をつけるためのもの、通り一遍の高校生活で通常習得するものの範疇、と言われればそうだろう。

 だが――そうだ。
 答えは、簡単じゃないか。

「こう上から見ていると、一打席一打席守る位置が目まぐるしく変わるんですね。テレビだと今一つわかりにくいところですけど、勉強になります」
 高校球児が一球一打に賭けたのならば、自分は「一人」に賭けたのだ。青春を賭けた人が、目の前にいてくれている。それが、何よりの回答だ。

「ははっ」
「? どうしました?」
「いや、何でもないよ。ぼくも結構頑張ったなあ、って」
「先輩は確かに、いつも頑張ってくれていますから、私も助けてもらってますけど」
「そう言ってもらえると青春も報われるってものだね。そうだ、次のバッターで5回裏が終わるから、ちょっと涼みがてら買い物に行かない? そろそろお昼も食べたいし」
「いいですね。名物はカレーと焼き鳥、でしたか。私はまだお酒は無理ですけど……」

 そんなやり取りをしているうちに、後攻のバッターが三振に倒れ、五回裏が終了する。しばらくはグラウンド整備の時間、それを眺めるのもまた楽しそうだが、時間ももう午後一時を回っている。まだしばらく野球を楽しむためにも、何か昼飯で体力を――というわけで、二人はタオルとペットボトル、そして「輝日東」の校名が入ったうちわを席に置き、甲子園外野席の二階通路、その売店へと向かっていった。

「ほとんどカレーと焼き鳥しかないようですが、それが大変美味しいのでそれで充分、というのが常連さんの意見なんだそうですよ。先輩、どうしますか? カレーに何かトッピングします?」
「いや、普通の中辛でいいかな」
「了解しました。えーと、では、先輩……」
「うん、ぼくは焼き鳥買ってくるよ。一本でいい?」
「はい、それでお願いします」

 カレー一杯、焼き鳥(といっても、「ジャンボ」と形容されるほど大きいもの)一本。それが、本日の昼食である。5回裏〜6回表の間は、多くの観客が買い物に向かうため、それなりに込み合う時間帯である。この日も例外ではなく、逢と彼は二手に分かれてそれぞれ買い物を済ます予定にしていた。

(暑いなあ……)

 その前に、と、彼は球場内部の廊下に設置されている巨大な冷房にあたって、少しばかりの涼をとった。
 と。

「おや?」

 その冷房の付近で、きょろきょろと周囲を見回している子供がいる。誰かを探しているのか……、と、彼がそんな感想を抱いた頃、その少年はふらふらと歩き出し、一端彼の視界から出て行った。

(……)

 彼には、妙に気になっていた。その子供の足取りには、確固たるものが感じられなかった。つまりは、行き当たりばったりに、目標が見当たらなくて動いているように見えたのだ。

「迷子、かな」
「誰がですか?」
「ああいや、逢じゃなくて……って、早いね」
「列がはけるのが早かったんですよ。ところで、迷子ってどういうことです?」

 彼は、逢からカレーを受け取りつつ、事情を話した。

「それは、気になりますね。先輩の直感通りだと思います」
「ということは、迷子?」
「たぶん、そうですね。一人で来る、ということはないと思いますから」

 逢が、思案顔でそう言った、その時のこと。

「あ、あの子だね」
「……泣きそうに、なってますね」
「うん、ぼくにもそう見える」

 再び、その少年が通路を戻ってきた。おそらく、目当ての人を見つけられなかった、のだろう。

「こういう時は、寂しいですし、不安ですし、疲れてもいるものですからね」
「というと……」
「任せてください。こういうのは、結構得意です」

 そう言うと、逢は少年に近寄り、しゃがんで、自分の顔を少年と同じ高さにして、語り掛けた。

「誰か、探しているの?」
「あ……」
「お父さん? それとも、お母さんかな」
「え……と」

 傍から見るに、どうやら、逢は少年の表情から、その回答を読み取っているようである。彼女は近くの階段に少年を導き、座りながら話を続けていた。

(そういえば)

 と、彼は思い到る。逢には、少し歳の離れた弟がいて、そのお守りはお手の物、であるだろう。既に、姉とも母とも区別がつかないような高度な保護者経験を積んできているのだ。

「お父……さん」
「そっか。さっきから、お父さんを探してるんだ」
「……」

 こくり、と、少年がうなずく。子供が簡単に返事をできるよう、質問を単純化して、肯定か否定かの意思表示だけで事足りるようにしているのだ。

 逢には弟が居ることに加え、アルバイト先がプールの監視員だったり、それこそ少年少女対象の水泳教室の指導員だったりもする。こうした年代の子供を相手にするには、最高の「姉力」「母力」を持っている、と言っても過言ではない。

 その後も、逢の質問が2、3続いた。それで、充分だったらしい。逢は彼のほうを振り向くと、小さな声で、耳打ちした。

「下の階から、上がってきちゃったみたいですね。確かに、同じ球場の『中』ですから、混乱するのも無理はないです」
「なるほど、そういうことか」
「はい。ですので、下の階に行ってみましょう。それで見つからなければ、迷子センターですね」
「了解」

 二人は少年の手を取り、球場一階の通路へと降りて行った。人も多い中、捜索は難航するか――と思われたが、事態はあっさりと解決。降りてすぐのところに。子供を探している風の親御さんがいて、それが少年の父親であることがすぐに分かったのである。

「よかったですね、先輩」
「うん。逢が子供に好かれるのが、よくわかったよ」
「そうですか? そういうつもりではなかったんですけど。ああでも、弟は思い出しましたね。不安そうな顔をしていた時なんかは、そっくりに見えました」

 焼き鳥を買い、席に戻って、逢はそう笑った。確かに、彼女の言う通りだろう。
 ただ、彼には――少年を親元に届ける途中、少し、違う感慨が生まれていて。




   ※




「気持ちいいなあ……プール最高……」

 そして、甲子園の観戦を満喫したあと。二人は甲子園駅からシャトルバスを利用し、甲子園のさらに南にあるプール&温浴施設でゆったりと休養を取っていた。日中、照り付ける日差しに焼かれた肌に、プールのひんやりとした水が心地よい。温泉もいいが、今はこのプールこそが最高の癒し、と言えるだろう。

「お疲れ様です、先輩。ウォータースライダー、楽しかったですよ。後でどうですか?」
「ぜひ行かせてもらうよ。もうちょっと冷やしたらね」
「ふふ。そうしましょう」

 逢はそう言うと、水泳部仕込みの泳ぎで、ゆらゆらとプール内を遊泳しに行った。このあたり、体力的にも逢のほうがずっと優れているのがよくわかる。彼も逢に触発されて適度に運動はしていたが、さながら人魚のような彼女には到底かなわない。

(それにしても、だ)

 そんな逢の泳ぎ、日焼け跡と美しくしなやかな体をより引き立たせるビキニ姿を堪能しつつ、彼は昼間の出来事に想いを馳せていた。

 二人で、少年の手を引いていた時のこと。
 逢は、「弟を思い出した」と言っていたけれど。
 彼にしてみれば――。

(子供が産まれたら、あんな感じなのかなあ――)

 と。
 そんな発想に到っていた、というわけであった。

 実際問題、将来のことを考えるならば、逢と一緒に子供の手を引く未来しかもう想像できないことは間違いなく。そうなると、決して夢や妄想ではなく、来るべき約束された勝利の未来、と言うこともできる気がしないでもない。

「逢との愛の結晶……」
「何を言っているんですか、先輩。にやけながら」
「いや、そういうのも幸せなんじゃないかな、って……うわ、逢、いつから?」
「いえ、今しがた、ですけど」

 はは、と、彼は苦笑する。逢と彼の仲である以上、既にそういう話題ですらまったく忌避すべき理由はないが、不意打ちのような形で彼女に見上られ、彼は少し照れてしまった。

「いや、お母さんみたいだったな、って。お姉ちゃんみたい、でもあったけどね」
「え、それは……」
「さっきのこと。もう充分お母さんになる準備もできてるんじゃないかな、って」
「もう……相変わらず、唐突なんですから」
「そうでもないよ。結構真剣なんだけどな。それに、実際お母さんってことを考えると、何人予定かで、将来設計も変わってくるし。逢はどう?」

 そう水を向けると、逢は困惑したような表情を浮かべ、頬を赤らめる。

「み、未定、です……」

 そして、再び水中へ。その様があまりにも可愛らしく、彼は少しめまいを覚えるほどであった。

「未定、ってことは、反対自体はされてないよな」

 そして、そう解釈する。母校の快進撃から始まった今回の旅。現在と、過去と、そして――この先の、逢と、彼。図らずも、その3つに想いを馳せるものとなったのは、間違いない。

(うん。その辺も、まじめに考えておかなきゃ)


 来るべき未来が、明るいものになりますように。
 いや、明るいものに、必ずしてみせる、と。
 彼は逢を愛でながら、そう心に誓ったのであった。





 というわけで、今回は現在大絶賛開催中の高校野球に絡めて、
 「今」と「過去」と「未来」のお話をちらっと書いてみました。
 もともとは「銚子といえば……港……漁業……犬吠埼……いや、高校野球」と
 思い立ったのが始まりでしたね。ご存知の方がどれくらいいるか
 不透明ですが、高校野球で輝日のもととなった銚子市と言えば、
 銚子商業高等学校。高校野球では欠かせない校名が刻まれた地なのです。
 確か輝日東のモデルになった高校も出たことはあったような。
 そこから、今回のお話を組み立ててみました。迷子の案は、
 絵を担当していただいている紫色様のご提案。アイアイの母力、
 姉力が炸裂する瞬間だった……! そして、「母」といえば……てな感じでした。

 作中に出てくるプールも実在します。甲子園駅からシャトルバスが
 出ていたりしますが、そういうのも地元なので絡めてみたいなあ、とw
 あと、やはり水着。そこはね、やっぱりね(断言)。

 久々に夏の二人が書けて良かったなあ、と思うことしきり。
 水着と言えば夏、ってところもありますからねw
 またやりたいものです、ええ、すぐにでも……!


 それでは、お読み頂きましてありがとうございました!<(_ _)>

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