「で、結局、採掘はしていいことになったんだな?」
「意外と太っ腹よあの子。将来、大物になるかもね」

 そして、翌日。無事に事件を「解決」した士郎達衛宮邸一行は、整備されたばかりのギルガメッシュ・龍神リゾートの浜で海遊びに興じていた。

「大物、か。どこぞの王様みたいにはなって欲しくないけどな」
「ま、その辺は彼の努力次第よね。努力でなんとかなるかどうかは知らないけど」

 にぎやかに遊ぶ衛宮邸住人や客人の面々を眺めつつ、凛と士郎はパラソル下のチェアーでのんびりと過ごしている。凛が語った通り、ことの次第を知った少年ギルガメッシュは、彼女の採掘を快く認めたのである。これからも貴女方にはお世話になるでしょうし、と、ぽそっと語ったらしいのが気にならなくはないが、凛にとっては良かっただろう、と、士郎は内心そんなことを考える。

「さて、わたしもひと泳ぎしてこようかしら」
「ん。いってこーい」

 ひらひら、と手を振り、浜辺へと向かう凛を送り出す士郎。その凛と入れ替わりになるように、セイバーが士郎のパラソルへと戻ってくる。

「いや、良い運動になりました。セイバーライオンとリーゼリットのツイン・ストリームアタックにはどう対処しようかと……」
「ビーチバレー、してたんだよな……?」

 まるでロボットに乗って戦って来たかのような感慨を語るセイバーに、思わずツッコミを入れる士郎。どうやらビーチバレーのチームが交代になったらしい。

「シロウ、一緒に泳ぎに行きませんか?」
「ん、そうだな。そろそろ動くか」

 せっかくの誘い、である。身体は休めたし、少し水遊びに興じるのもいいだろう。もっとも、この面子のことである。「水遊び」程度で済むかどうかは分からないが――

「それでは、行きましょう!」

 起きあがった士郎は、セイバーに手を取られ、夏の太陽の下へと駆け出した。

 ひたすら泳ぐ組、ビーチバレーにアツくなる組、ひたすらサンドアートに精を出す組――と、見慣れた面々が楽しそうに過ごしている海辺。
 こういう光景こそが、バカンス、と言えるのだろう。さて、自分も、しばしこの時間を堪能しよう、と。士郎はそう心に決め、セイバーと共に海へ向かって行った。





 というわけで、C84夏コミ型月本の本文をお送りしましたー。またしても久々になってしまい……(滝汗)

 去年海をやりましたので、今年は同じバカンス関わりでも少し趣向を変えてみました。設定上は島に皆さん来ていて去年の話のようにわいわいやっているのですが、メインのお話は別に用意してみた、という形ですね。

 話に出てくる「子ギル」は、ウチのSSで昔ちょっとだけ出したキャラクターです。ほぼ子ギルですが、出自が違う、という形ですね。彼は四次から五次までの大半を子供身体で過ごしたといいますが、その間に戻った時か、あるいは子供のままでか、どちらにしても「そういう」こともあったのかなぁ、とかなんとか……w

 いずれにしましても、幼少ギルのキャラクターは非常に好きなのですw 他にはひびちかも出したかったし、と色々と考えてみました。他メンバーについても妄想をふくらまして頂ければこれ幸いでございますw

 それでは、お読み頂きましてありがとうございました!<(_ _)>

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