「いやぁ……」
色々あったなあ、と、彼は眼を閉じつつ、三泊四日の旅行を振り返る。そんな、帰りの飛行機待ちの、空調がよく効いた航空会社ラウンジ。ソファーに腰掛けた彼は、ひとつひとつのイベントを噛み締めるように思い返していた。余談ではあるが、このラウンジの使用権も、ツアーの一部に組み込まれていたりする。
「アクシデントもあったけど、さ」
それでも、最高の旅行だった、と、断言できる。この先もずっと織りなしていくであろう逢との日々の中で、一際輝く想い出になったことは疑いない。
逢の日焼け跡と水着のコントラスト、今も後頭部に残る太ももの感触――その他、甘い心地良い記憶が次々と蘇ってくる。心底、この旅行を当てられてよかった――と、思わざるを得ない。
「何をいやらしい顔してるんですか、先輩」
「あ、おかえり」
瞼を上げると、逢が土産物の物色から帰って来ていた。言葉とは裏腹に、その表情は柔和である。
「いや、逢との想い出を反芻してたんだよ」
「そうでしたか。ふふ」
手にした手提げ紙袋を起き、彼の横に腰を下ろす逢。来る時に来ていた白のワンピースとは違い、Tシャツにホットパンツ、というワイルドな出で立ちだが、これまた彼女の魅力をグッと引き出している、と言えるだろう。
「楽しかったですからね。帰りたくなくなっちゃうくらい」
「ああ、分かるなあ。多分、向うに着いたらもっとそう思うんだろうね」
「そうかもしれませんね」
逢の言う通り、いつまでも、どこまでも、この南国の楽園で彼女と過ごしたい気持ちに駆られる。それほど、理想の時間に近い三泊四日だったのだ。
「いや、でも、また来ればいいか。うん。今度は、商店街で当てなくても来られるように頑張れば……」
「いいですね。私も協力しちゃいます」
逢がそう言ってくれるならば、百人力どころの騒ぎでは無い。この島でまた彼女と楽しい日々を過ごす未来、それを想像するだけでまた活力が湧いてくるかのようである。
青い空、蒼い海、深い緑に、白亜の砂。そして、逢。
その全てが、素晴らしかった――これが、人生における幸福、というものであろう。
「あ、そろそろ、時間かな?」
「そうですね。行きましょうか」
絶対、また二人で、ここに来よう。
彼はそう強く胸に誓い、逢と一緒に、ラウンジを後にした。
というわけで、アマガミ夏コミ本SSパートをお送りいたしました!
今回はシンプルに、「逢さんと南の島に行ってもらおう」というネタで即決しましたw 去年が夏なのに受験時の話、と、季節は完全にずれてしまったので、今年はど直球で行きましょう、とw 去年今年と自分で沖縄も行っていましたので、そのイメージでやりましたね。宿泊先がコテージなのは、挿絵表紙を頂いた紫色様からのリクエストですw 夢ですよね……そういうの……!w
こちらも当日、印刷がちゃんと出来ていれば本と、表紙絵のブロマイド風、出来れば四コマ折本もおつけいたします。御来場の方、宜しくお願い致しますw
それでは、お読み頂きましてありがとうございました!<(_ _)>
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