それにしても、やはり年末進行というものは、体力を要する。

 方々にヘルプに出ている士郎であれば、それはもう、平時より働いていたのでは?というほどであり。セイバーもセイバーで、方々からお手伝いを頼まれることも多くなる一方である。ついでに、色々と予定も詰まれば年末番組や初詣等々も絡み、寝不足になるのもこの時期の常である。
 一応、一般人のくくりである士郎も、或いは、王たるセイバーですらも。その波を乗り越えたあとには、多少、疲労が残るのは致し方ないことであろう。

 と、いうわけで。

「……ふぅ」
「……ふぁ」
「あり得ざる午后オフの業、ってところかな」

 うつらうつらし始めて、ハッと意識を取り戻す亭主、そして可愛すぎる小さな欠伸をしたセイバーを眺めながら、花のおにいさんは楽しそうに呟いている。フォウくんが居ればキックのひとつも飛んでくる感慨であろう。実際、セイバーの姉たる女王陛下から突っ込みの光弾を一発喰らっており、アタマには派手なたんこぶができている。

「??だが、それがいい」
「はっはっは、相当眠いんだね」

 直前に読んだ漫画のセリフを引用しつつ、舟をこいだ状態になる亭主。
 まあ、なんというか。
 これがお正月、ということである。

「がお、……がう」

 それは、衛宮邸第一の隣人……獣?であるセイバーライオンにしても同じであったようだ。いつものようにふらっと年末にやってきて(※クリスマス以来)、方々遊びまわっていた彼女もまた、眠気に襲われているようである。

「がうぅ……Zzz」

 そんな彼女は、卓上に登ると、セイバーの目の前でお昼寝を始めた。

「と、セイバーライオン。お行儀が……、……」

 セイバーの追及は、そこで止まった。
 まあ、お正月だし、そういうこともあるだろう。
 ……いや、それだけ、ではなく。

「……なんとも」

 間近で見れば、改めて、痛感させられること。
 それは、セイバーライオンの「毛並みの良さ」である。

 セイバーの目が、輝いている。
 士郎は、その心中を慮る。
 まあ、お正月だから。何回も繰り返される、そのフレーズ。
 だけど、最強の「免罪符」なので、仕方ない。

「セイバー」
「は、はい」
「もふもふ、してみたら?」
「……!」

 勿論、これまで何度もモフモフしているわけであるが、多少疲労があるこの時間帯に行う「ソレ」は、万病を癒すのではないか。
 それくらい、セイバーライオンセラピーには定評があるのだ。

「……御免」
「武士かな?」

 突っ込みをさらりとスルーしつつ、セイバーは、セイバーライオンの背中に顔を埋める。
 なるほど、そう来たか。手でなでる、とかではなく。

「……良い……」

 満悦のセイバー。セイバーライオンは、まったく意にも介さず、すやすやと寝息を立てている。

「……うん。良い……」
「良いねぇ……」

 その姉妹めいた光景を眺める二人もまた、大いに頷き合う。
 正月とは、こういうもの。
 心穏やかに、のんびりと。
 今日、この元日も、衛宮邸は平和であった。


 




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